インフォメーション

【コン検通信 理事だより】AI活用時代のオペレーターの研修

1.オペレーターのスキル状況

多くのコンタクトセンターが、AIチャットボットなどのセルフサポートシステムを導入していますが、現状では、簡単な問題を解決することはできますが「複雑な問題」や「難しい問題」に対する解決ができていない状況です。
そのため、電話への問合せは、簡単な問題の問い合わせは減少していますが、AIチャットボットなどで解決できなかった「複雑な問題」や「難しい問題」の問い合わせの割合が増加し、オペレーターはこれらの、問題への対応をしなければならなくなっています。
これは、日本だけでなく、欧米でも同様な状況が発生しています。

簡単な問題はAIチャットボットなどで解決されるため、オペレーターは、複雑な問題や、難しい問題に対応しなければならないのですが、これらの問題を解決するための適切な知識・スキルを保有していないオペレーターもいます。

問題解決のための適切な知識・スキルを保有していないオペレーターは、複雑で難しい問題への対応により過剰なストレスがかかり、疲弊につながり、離職の原因にもなっています。
この状況は、AIチャットボットが導入され始めた時から懸念されていたことですが、オペレーターのスキル向上のための研修が十分になされてこなかったことが原因となっています。

 

2.オペレーターのスキル監査

オペレーターのスキルは、業務を行うために必要となる最低減のスキル(ミニマムスキル)を習得し、顧客対応にデビューすることが一般的になっています。
初期研修で取得した、ミニマムスキルの内容は、常に同じ内容ではなく、変化をします。

そのため、オペレーターが習得しなければならないミニマムスキルは、コールリーズン分析などにより、最新の問い合わせ状況から、その問合せに回答するために必要となる、知識・スキルを分析する必要があります。
顧客対応のために必要となるスキルに変化が生じた場合には、フォローアップ研修により知識・スキルを追加しなければなりません。
また、オペレーターの知識・スキルは、全員が同じ状況ではないため、各オペレーターが習得している知識・スキル状況を定期的に確認する必要があります。
オペレーターの知識・スキル状況の確認は、スキル検証やスキル監査と呼ばれています。

オペレーターのスキル状況を定期的に検証し、不足している知識・スキルがある場合には、研修や自己学習により、不足している知識・スキルをなくす必要があります。

(オペレーターのスキル監査シートの例)

 

3.オペレーターのスキル向上

コールリーズンによるスキル分析や、オペレーターのスキル監査などにより不足している知識・スキルが発見された場合には、フォローアップ研修やeラーニングによる自己学習などで不足している知識・スキルを習得しなければなりません。
オペレーターの知識・スキル状況を管理するのは、スーパーバイザーの役割となりますので、不足している知識・スキルを習得するための学習方法や学習目標をコーチングにより設定します。
最近では、eラーニングによるマイクロラーニングでの自己学習と学習結果を確認するために、生成AIを利用したロールプレーイングなどができるようになってきているため、学習の効率化を図ることが可能となってきています。

(マイクロラーニングによる学習プロセス例)

 

4.オペレーターのラーニングジャーニー
オペレーターは、研修で習得した知識(インプット)を、活用し顧客対応をします。(アウトプット)
オペレーターが、習得した知識・スキルを活用することで、顧客満足度の向上や良い顧客体験を提供できることで会社貢献となります。(成果)

この、オペレーターのラーニングジャーニーを成功させるためには、業務で必要となるスキルを明確にし、顧客対応業務で活用できるようになる研修を実施することが重要となります。

コン検では、知識を習得し、活用できるようになるための研修を、ファシリテーション型の研修(=研修ファシリテーション)としています。

講義やeラーニングで学習し知識を習得することが研修の終了ではなく、習得した知識を活用できるまでが研修と考えています。
オペレーター研修は、習得した知識を業務で活用できるようにする、ファシリテーション型の研修で実施し、ラーニングジャーニーを達成してください。

(オペレーターのラーニングジャーニー)

 

コン検協会では、「コンタクトセンターマネジメント知識スキル体系(CMBOK)」の業務領域にかかわる専門研修を行う高い能力を有するインストラクターを公認研修ファシリテーターとして認定します(「公認研修ファシリテーター資格(以下公認FT資格)」)。この度、「研修ファシリテーター養成講座」の教材として「研修ファシリテーターテキスト CMBOK3.0準拠」を出版いたしました。

ご興味のある方はコン検サイトからご購入いただけますので、ぜひご覧ください。>テキスト購入

<グッドエンゲージメント 代表 田口 浩>