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コンタクトセンターをお持ちの会社ではあまり珍しいことでもないかもしれませんが、弊社は毎年、社内電話応対コンテストを実施しています。
コロナ禍もオンライン開催などの工夫で乗り越え、本年もこの秋、第18回目が開催されました。
年によって増減しますがオペレーター約1,500名、約60のチームが参加し、外部評価会社も審査に加わり、その年の最優秀オペレーターが選ばれます。
選ばれたオペレーターは注目を浴びる機会が増えます。競技中はもちろん、表彰式、後日の取材などで、コメントの機会も増えます。普段は自分の職場しか知らないオペレーターが、大勢の前で緊張しながらコメントするわけですが、何度かインタビューを受けているうちに、見違えるように受け応えがしっかりしてきます。
似たような質問を受けるから慣れた、というだけではなく、いつの間にか話す内容に軸が出来、厚みが生まれ、何かを掴んだように自信を感じられるようになります。短い期間での内省を踏まえた、業務スキルとは異なる成長に気が付きます。
電話応対のロールプレイングと実応対で、経験・気づき・学びが大きく違うように、コンテストでの経験がスタッフを大きく成長させるきっかけになります。練習よりも本番をたくさん経験する方が成長するといった「習うより慣れろ」メソッドはよく見聞きしますが、それは実践において取り囲む色々な情報量や関係者が多ければ多いほど、様々な成長に繋がるからではないでしょうか。
コンテストは、参加者、とりわけファイナリストや受賞者の成長にスポットライトが注がれるものですが、コンテストそのものの作り手の成長にも目を瞠るものがあります。
この数年は立場上、事務局(主催部署)の上長として、企画から行事終了後の精算、細かい事務(例えば受賞者の課税処理)に至るまで、1年以上に渡る事務局メンバーの活動を見守りながら、その年その年の成長を実感しています。
事務局のメンバーは当然、日常的に弊社の現場業務や業務品質を管理する仕事を持っており、全国にあるセンターの現場支援をしながらコンテストを構築します。年々会の充実に対する期待のハードルとプレッシャーが上がる中、日常業務との両立を図りながら、最後までやり切るスキルと責任感の強さは、私自身も見習うべきものがあります。
彼らの成長実感について、少し話を聞く機会がありましたので、一部を紹介します。
「表彰式の瞬間に立ち会うと、1年かけての企画や準備は本当に大変だけど心の底から、実施する価値がある、実施して良かったと心から思う」
「イベント当日は、皆の集中力とアンテナが非常に高くなり、各自の力を最大限発揮して成功に導いていると感じる」
「毎年関わるうちに、気づいたら様々なスキルがバランスよくついていた」
「準備も当日も、その時その時は大変で乗り越えられないと思うが、通り過ぎて振り返ってみたら、あれ…超えてた?みたいな実感を抱く」
話の半分以上が、大変だった、感動した、報われた、という実感ですが、全体的にはコメントの中に本人たちがまだ言葉にできていない成長を感じることができます。行事そのものが、どれだけの関係者にどんな影響を与えるか、誰にどんな成長の機会に繋がっているかを、具体的に言語化できると良いのですが。
またさらに、弊社では社員の成長促進を狙ったアウトプットの場や環境を作るための様々な機会を設けています。
一定の職域に到達したメンバーに向けた研修では、様々な研修に事前・事後課題などのアウトプットを付け、最終的には経営層・本部長層へプレゼンする機会が提供されます。
本部間を横断した生産性や品質管理のプロジェクトでは、年初にどのような成果を目指すか考え、センター長に提案、承認の上、チームを作り計画を立て、全国の担当者が集まる会議の場で進捗を報告します。期末にはその成果をプレゼン、あるいは定量・定性的な評価資料を伴った報告を行い、本部長からのFBを受けます。
指名された直後のメンバーからは戸惑いや自信のなさを感じますが、徐々に自分がやってきたことを、自分の言葉で説明できるようになっていくので、説明力が上がります。総合的に、コミュニケーション、チームビルディング、資料作成、折衝交渉やプロセスの管理、プレゼンなど、欲しいスキルがバランスよく身に付く実感も得られるようです。
そのためか、報告や発表といったアウトプットを経て、ある瞬間、何かに気付き、取り組む姿勢が能動的に変わり、主体性が増します。
これらの瞬間を実感でき体感する場面を作ることが、メンバーの成長を促す一助になるのではないかと思います。
これらの機会に参加するメンバーに共通することは、日々の業務において自分が与える影響の範囲をうまく実感できていないのではないか、ということです。日常の現場業務もたくさんの関係者に影響を与えていることに変わりはありませんが、ことコンテストや、大勢の前でのプレゼンのような「場」になると、おそらくアウトプットの質が日常業務と大きく変わるのでしょう。日々の慣れた業務環境とは違い、緊張の中、いつも以上の観察、思慮を伴って出力されるのかも知れません。誰かに、何かを伝えよう、影響を与えようと、いつも以上に能動的に取り組んだ後は、本人の成長や場への参加意欲を感じるようになります。
では、こういった場をまだ経験させてもらえないメンバーはどうすればよいでしょうか。
形はどうであれ、取り巻く関係者が少しでも多く、自身の立場を強く意識すればするほど、アウトプットと引き換えに得られる成長の度合いが高まる。これは何も特殊な場を提供しなくても、いつもの環境下でも、見方を変え気づくことで意識できることかも知れません。
何も会社や組織にお膳立てしてもらわなくても大丈夫。
もし日常に変化がなく、よいアウトプットの場がないという方がいたら…一度、自分自身の仕事がどれぐらいの範囲に影響を与えるものかを考えてみてはいかがでしょうか。
これらを情報化し、やるべきこと、やったことをきちんと言語化していくことで、思考を整理し次の行動に繋げていくことができます。
そうすることで、あなたのアウトプットの仕方が変わり、いっそうの成長に繋がるかもしれません。
今回のメルマガ、アウトプットについてお話したので、少し宣伝をさせていただきます。
コン検にはこれまで、習得した知識やスキルを業務で活用することができる方法を学ぶためのファシリテーション型の研修を推奨しており、そのファシリテーターを養成する講座もあります。
分かりやすく相手に伝える、例えば成人学習の特徴など、ファシリテーターとしてのアウトプット力の向上に役立つ知識とスキルを学べる「研修ファシリテーター」です。
この「研修ファシリテーターテキスト」、CMBOK3.0準拠版がもうすぐ販売されます。
詳細はもうすぐ、コン検のサイトでお知らせできると思いますので、ご興味のある方はぜひ、お手に取ってみてほしいなと思います。
<SocioFuture株式会社 戸田寛之>