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2023年1月の当コラムで、「コンタクトセンターにおけるAIツールの活用」と題した記事を寄稿いたしました。
[コン検通信 理事だより]コンタクトセンターにおけるAIツールの活用 | お知らせ | コン検 CONKEN | 日本コンタクトセンター教育検定協会
AIツールを活用してコンタクトセンターに寄せられるお問い合わせから、「痛点」を発見し、顧客体験価値(CX)の向上を提案するというものでした。
それ以降、当社ではコンタクトセンター運用現場でAIツールを積極的に活用し、実践を重ねています。AIツールも進化し続けており、生成AI(Microsoft Azure OpenAI)を組み入れることで、分析者が知りたい情報を迅速かつ柔軟に取得できるようになりました。
上記の例はアプリケーションソフトのレビューを分析したもので、右側に表示されているのが出力レポートです。本ツールには、分析レポートを出力するための「定型プロンプト」がいくつか用意されています。この例では、左側中ほどに記載の「肯定的・否定的な事象を分析してまとめる」という定型プロンプトを使用しています。目的に応じて、そのほかの定型プロンプトを選ぶこともできますし、独自の切り口でレポートを出力したい場合には、プロンプトの自由入力欄に任意のプロンプトを入力してレポートを生成することが可能です。当社では、このようなツールを活用し、企業の商品開発やマーケティング施策に役立つ顧客体験価値の向上を提案しています。
ここで重要なのは、出力されたレポートのファクトチェックや内容の加筆修正を人がおこなうことです。最終的に読み手にレポート内容を納得していただける内容に仕上げることができるのは、ユーザー対応経験がある人の仕事であり、この部分は疎かにしないよう常に意識してAIを活用しています。
一方で、昨年からはCXやDXの領域で活躍できる人材を育成する「CX/DX人材育成プログラム」を全社で展開しています。このプログラムは、5つのロールに分かれ、ロールごとにレベル1から3までの体系で構成しています。学習内容はロールとレベルによって異なり、従来のコンタクトセンタースキルやCMBOKの知識に加えて、統計、データサイエンス、機械学習、マーケティング、デジタルマーケティングなど、新たなスキルを習得することができます。
当社の事例では、AIツールと育成プログラムでの学びを活かした取り組みが始まっています。例えば、グローバル展開を重視するクライアント向けに、海外ユーザーがどのようにサービスを評価しているのかを知るために、外国語のレビューをAIツールで解析し、顧客体験価値向上のレポートをおこないました。その際、レビュー(テキスト)の定性的な分析に加えて、育成プログラムで学んだ統計手法を用いて定量的に表現するなど、学びを実践に活かしています。結果、レポートはクライアントから高評価を得ることができました。また、担当した当社社員は、この活動を通じて得られたノウハウを資料化し、知識の集約と共有を進めています。
当社では年に1回、社内アワードを開催しています。今回ご紹介した取り組みは、その中でグランプリを受賞しました。この成果は、私たちが新たなスキルとツールを駆使して、コンタクトセンターの進化を実現している1つの姿だと評価しています。これからも顧客体験価値の向上を目指して取り組みを続けていく所存です。
新しい技術を導入し、人材育成プログラムを通じて育った人材が、新たなアイデアや手法を用いて、コンタクトセンターの運営に付加価値をもたらすことを期待しています。今後も、当社はAIと人の知恵を融合させ、コンタクトセンターの進化を目指します。顧客体験価値の向上を追求し、企業の成長に貢献するために、チャレンジを続けていきたいと考えています。
<富士通コミュニケーションサービス株式会社 大濱 広寿>