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[コン検通信 理事だより]AI進化時代の人の役割

画竜点睛を欠くという故事成語がありますが
IT社会のITシステムにとって、「人」こそが、その”点睛”であると私たちは考えます。
それはコールセンターというソリューションだけではなく
システムの開発・構築段階から、使う人の不安な気持ちを意識すること。
人に優しい未来は、人に優しいシステムからはじまります。

ChatGPTをはじめとする対話型人工知能(生成AI)が世間の注目を集めています。
まさにテクノロジーは日進月歩。今年に入り様々な企業の対話型人工知能導入のニュースも多数、少し余所見をするとあっと言う間に取り残されてしまうようになったと実感する日々です。
いよいよAIに仕事が奪われる時代、と不安になられる方もいるかもしれません。

対話型人工知能、現時点ではうまく対話することが出来れば、殆どの質問に適切な回答が得られるようです。まだまだAIに寄り添った質問の仕方が必要だったり、ファクトチェックを要したりなど、ユーザーのリテラシーは必要ですが、いずれ音声やバーチャルリアリティを含めたマルチモーダル化により、より直感的でユーザーライクに進化するでしょう。
コンタクトセンター業務を行いながら一方でシステム開発部門を持つ弊社も、業務システムに対話型人工知能を取り入れられないかと様々な検証を進めています。もちろんそれは、効率化の実現で人材不足への回答となるかも知れませんし、標準化の実現で教育負荷や業務負荷を下げられる可能性もあります。そしてもしかするとコンタクトセンターの業務は、簡単で低品質な仕事ならば、チャットボットやボイスボットなどで代替できてしまうかもしれません。

しかしながら、コンタクトセンターはコミュニケーションで成り立つ仕事です。

コミュニケーションについて、やや極端な例になりますが、私は数年前から個人的にコーチをつけています。
コーチングを受けるメリットはまさに人と人による対話の力により、どんなにAIに問うても出てこない、人の内側にある答えを引き出してくれることにあります。今のAIなら質問の仕方、使い方次第では何でも答えてもらえそうですが、それでも人の潜在意識下にある顕在化されていない言葉を引き出すスキルはありません。これはどんなにテクノロジーが発達しようともAIでは成し得ないコミュニケーションではないかと考えます。本稿執筆現在、ChatGPTも、人間のコーチが直接的なサポートや洞察を提供することが望ましいと回答しています。
同じように、従業員のモチベーションやエフィカシーを高めるために1on1ミーティングを取り入れる事例がメジャーになりつつありますが、今のところAIにモチベーションやエフィカシーを上げてもらおうという人は居ないでしょう。
近い将来、AIとのコミュニケーションも一般的になるかもしれませんが、その本質は、感情をもった対話にあり、共感し、意を汲み先回りが出来る、気を利かせ、心をつかむことが出来るといった適切な人間味にあり、そこには何よりもコミュニケーションに関わる当事者の腹落ち、納得感とアウトプット内容への信頼が必須だと、私は思います。

少し話は逸れますが、実際にChatGPTに質問してみました。


質問:
ChatGPTによって、コンタクトセンターの仕事がなくなってしまうかも知れません。
回答:
ChatGPTのような人工知能技術は、一部のコンタクトセンター業務において自動化や効率化の可能性を提供しています。例えば、自動応答システムやチャットボットを活用することで、一部の簡単な問い合わせや情報提供業務を自動化することができます。
しかし、完全にコンタクトセンターの仕事がなくなるというわけではありません。なぜなら、人々はまだ人間との対話やサポートを必要とする場面が多く存在するからです。特に複雑な問題や感情的なサポートを必要とする場合には、人間の対応が重要となります。
また、コンタクトセンターの役割は単に問い合わせに応じるだけでなく、顧客との関係構築や問題解決にも関与します。このような人間の要素は、一部の業務においては不可欠です。
したがって、ChatGPTや他の人工知能技術はコンタクトセンターの業務をサポートし、一部のタスクを効率化することができますが、完全に置き換えることは難しいと考えられます。コンタクトセンターの仕事は、顧客体験の向上や人間の関与に基づく価値提供が求められるため、今後も重要な存在として残るでしょう。
質問:
では、今のコンタクトセンタースタッフがAIに負けないようにするためには、どうすれば良いでしょうか。
回答:
AIと競争するために、コンタクトセンタースタッフが次の方法を検討することが重要です。
1.    専門知識とスキルの習得:
AIは特定のタスクにおいて高い効率性を持っているかもしれませんが、人間の特徴としての洞察力、判断力、創造性、問題解決能力などはまだまだ優れています。コンタクトセンタースタッフは、自身の専門知識を高め、業界や製品に関する幅広い知識を持つことで付加価値を提供することができます。
2.    顧客体験の重視:
AIは情報を提供できるかもしれませんが、人間の温かみや共感はまだまだ重要です。コンタクトセンタースタッフは、顧客とのコミュニケーションにおいて積極的に関わり、顧客のニーズや要求に対応するためのスキルを磨くことが重要です。
3.    技術の活用:
AI技術はコンタクトセンターの効率化に役立つものです。コンタクトセンタースタッフは、AIツールや自動化ソフトウェアを活用して、繰り返しのタスクや基本的な問い合わせの処理を効率化することができます。これにより、より多くの時間を複雑な問題の解決や顧客対応に費やすことができます。
4.    継続的な学習と成長:
技術は進化し続けていますので、コンタクトセンタースタッフは常に最新のトレンドや技術動向について学び、自身のスキルをアップデートすることが重要です。業界の変化に対応するために、継続的な学習と成長の意識を持つことが求められます。
5.    人間らしさの活用:
AIは感情や人間らしさを再現するのは難しいです。コンタクトセンタースタッフは、顧客との関係を構築し、信頼を築くために、親身な態度や思いやりを持つことが重要です。顧客の感情や状況に理解を示し、エンパシーを持って対応することが、AIとの差別化や顧客満足度向上につながります。
6.    学習とフィードバックの活用:
コンタクトセンタースタッフは、日々の業務を通じて得た知識や経験を共有し、チーム全体の知識を高めることが重要です。学習とフィードバックの文化を醸成し、改善の機会を逃さないようにしましょう。定期的なトレーニングやミーティングを通じて、スキルやベストプラクティスの共有を行います。
7.    自己ブランディングと専門性の強化:
コンタクトセンタースタッフは、自身の専門性やブランドを強化することで、AIと競合する優位性を持つことができます。自身の得意分野や専門知識を積極的にアピールし、顧客からの信頼と評価を得るために努力しましょう。

最も重要なのは、コンタクトセンタースタッフがAI技術を補完し、より優れた顧客体験を提供できる方法を見つけることです。AIは効率化や自動化に貢献しますが、人間の要素や顧客との関係性はまだまだ重要です。コミュニケーション能力、洞察力、人間らしさを活かし、顧客ニーズに対応するために自身のスキルを磨くことが求められます。

〔ChatGPTより原文そのまま抜粋〕


AI進化の時代、今後コンタクトセンタービジネスは、お客さまの課題を10とした時に、7割か8割はAIなどのテクノロジーで解決できるようになるかもしれません。しかし、正確性や感情面のサポートなど重要な2割、3割は、お客さまに寄り添った高品質で難易度の高い「人」の応対が求められると考えます。コンタクトセンターはテクノロジーによるスピーディで省人化された「対応」と、まさに人が人による安心感をもった「応対」に二極化、またはそれらをうまく繋ぎ補完し合って業務する時代に向かっていくでしょう。
そして私たちの役割は、人にしかできない複合的なスキルをもって、ひとりひとりのお客さまに、情報だけでなく安心感や信用・信頼といった様々な付加価値も与えられる応対を提供する、より高度で重要なものになるでしょう。

冒頭のメッセージは弊社のCorporate Profileに記された一節です。
「人に優しい未来」を実現するためには、テクノロジーだけではなく人による応対が不可欠です。
すなわち「人の気持ちを汲み、人に寄り添った人間らしいコミュニケーション=ハイタッチ」が組み込まれた「人に優しいシステム=仕組み」こそが、誰一人取り残されない、人に優しい未来を実現します。
私たちコンタクトセンターのスタッフは、人に優しい仕組みをつくる一員として、AIには決して出来ない、より良い仕事をしていきたいですね。

<SocioFuture株式会社 戸田 寛之>