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はじめまして、2022年4月にコン検理事を拝命しました富士通コミュニケーションサービス(株)の大濱と申します。微力ながら当協会の発展に尽力してまいりますので、宜しくお願いいたします。
現在、当社では、「痛点」の発見を支援するAI技術を応用したツールの活用を進めています。
「痛点」とは、顧客が商品やサービスを購入・利用するプロセスにおいて生じる「期待を損なう経験」という意味合いに変わります。商品やサービスを購入・利用するプロセスのことを「顧客体験」、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」と呼びます。
では、「期待を損なう経験」とは何かというと、日本語の表現では「不」が付くコトバが、まさに「痛点」を表しているとも言えます。
たとえば、新しいタブレットを購入するという顧客体験において、
・商品は注文して2日後に到着したが、開封してみたら電源が入らなかった(不備)
⇒ 商品・サービスの不
・すぐにタブレットを使いたかったのに使えない(不便)
⇒ 顧客の状態の不
・信用しているメーカー直販のECサイトで買ったのに(不信)
⇒ 顧客の感情の不
こういう状況が生まれると、顧客はコンタクトセンターに連絡します。
(もちろん、購入した店舗に連絡するという可能性もあります)
AIツールが支援するのは、コンタクトセンターに寄せられる「期待を損なう経験」、つまり「商品・サービスの不」、「顧客の状態の不」、「顧客の感情の不」の抽出です。
具体的には、コンタクトセンターのお問い合わせ履歴から、
AIツールが
・一件一件のお問い合わせを上述の「3つの不の切り口」で数値化します
加えて、
・一件一件のお問い合わせを「ご意見」、「痛点」、「通常」に分類します
・「ネガティブな感情」が強いお問い合わせにマークを付けます
お問い合わせ履歴が、月間100件ぐらいであれば、履歴全件に目を通して確認できます。しかし、2,000件、5,000件、10,000件となるとどうでしょうか。履歴全件を目で確認することは大きな負担を強いられます。
AIツールを使うことで、大量の問い合わせデータの中から「期待を損なう経験」にはどんなことがあったかを探しやすくなります。ひいては、商品・サービスの改善提案の糸口を探せるようになります。
実はこのツールは、当社のコーポレートメッセージにある「企業と顧客を人とICTのチカラでつなぐ」を具現化したものです。
ツールが「不の数値化」、「ご意見・痛点の分類」、「ネガティブ感情の判定」をおこないますが、それはツールによって見える化された情報であり、顧客体験を改善する答えそのものではありません。ここから課題に落とし込み、改善に向けた答えをつくるのは、ヒトの仕事です。
ツールを使って分析した結果に、顧客接点の現場にいるコンタクトセンターの方々が持つ情報や課題意識をかけ合わせ、深掘りすることで「商品・サービスの本質的な顧客体験の改善提案」をすることが実現できます。
まさに、「人とICTのチカラ」です。
顧客の声を集める手段は、コンタクトセンター、アンケート、インタビュー、口コミサイト、SNSなど多数あります。その中で、コンタクトセンターは、顧客自らが企業に本質的な声を届けてくれる数少ない接点です。
顧客からいただく声を、自社の商品やサービスの改善、購買プロセスの見直しに活かして、顧客体験価値の向上を図る起点となる役割がコンタクトセンターにはあると考えています。
<富士通コミュニケーションサービス株式会社 大濱 広寿>