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コンタクトセンター業界で働く多くの方が、「現在、コンタクトセンターは大きな変革期に置かれている」と感じているのではないでしょうか。コンタクトセンターの変革は、デジタルの急速な進化と顧客の行動の変化が影響していると言えます。
現在のコンタクトセンターは10年前のコンタクトセンターと比べると、大きく変化しています。例えば、コンタクトセンターが利用するソリューションは、オンプレからSaaSに代わり、お客様との連絡は、電話、Eメールからソーシャルメディアやチャットが追加されるなど、様変わりをしています。現在でもコンタクトセンターの変革は止まっていません。SaaSの登場により、コンタクトセンターは、AI(人工知能)を利用した最新テクノロジーを簡単に利用することができるようになり、お客様の対応も、人だけではなくデジタル(無人)で対応することができるようになってきています。日本のコンタクトセンターは、この後も、大きく変化していくと考えられます。現在のコンタクトセンターの変化は、AIが中心となってきています。海外ではICCと呼ばれるコンタクトセンターへの変革が急激に進んでいます。
・ICCって何
ICCとはインテリジェントコンタクトセンターのことを指します。ICCとは、簡単に述べると、AIで強化されたコンタクトセンターのことを指します。お客様からすると、コンタクトセンターがオムニチャネル化され、様々なチャネルが利用できます。そして、AIを利用した高度なルーティングなどにより、お客様にとって最も便利な方法で接続することができるコンタクトセンターであるとも言えます。
・日本におけるICCの必要性
冒頭に書きましたが、お客様の行動は変化しています。お客様は困ったことがあれば、スマートフォンから、いつでも、どこからでも、様々な方法でコンタクトセンターと連絡することができ、利便性が向上しています。接続の利便性が向上し、お客様の体験が向上しているので、そのお客様の良い体験を台無しにしないためには、コンタクトセンターは、お客様の問題を迅速に解決することが重要になってきています。
お客様が良い体験をすることにより、カスタマーエンゲージメントを更に向上させます。そのためには、コンタクトセンターのオペレーターは、お客様の問題を迅速に解決する必要があります。もし、問題の解決策についてオペレーターがわからない時には、社内にいる専門家の知識を即座にフル活用し対応する事が求められます。そのような場合でも、AIがお客様の問題を分析し、解決することができる専門家が社内のどこにいるのかを探し出してくれます。(これを、インテリジェントスウォーミングといいます。)
また、オペレーターも、知識を覚えて対応するというモデルから変化します。AIがオペレーターを支援するナレッジからお客様の問題を解決するためのナレッジを探し出し、オペレーターの画面に表示してくれます。更に海外では、AIがお客様の質問内容を分析し、問題を解決する方法を直接お客様に回答する、いわゆる会話型AIも利用され始めています。将来において、労働人口が減少する日本においては、会話型AIは次世代のコンタクトセンターに必須の機能になると考えています。このように、コンタクトセンターでは、AIの活用範囲が年々広がってきています。
・今後のコンタクトセンターの展望
コンタクトセンターにおいては、AIの活用範囲はまだまだ広がる可能性があります。例えば、お客様対応において、AIにより音声や文字から感情を分析することで、顧客満足度調査やオペレーターのモチベーション管理が可能になります。また、お客様の潜在的なニーズを分析することにも活用できます。WFMでもAIが利用されています。業務量予測とシフト計画だけでなく、当日のリアルタイムマネジメントで問題の発生が予測されると、自動的に警告が表示されるため、常時端末を監視する必要がなくなります。
海外では、コンタクトセンターの様々な業務にAIが活用され始めていますが、日本においては、まだまだ遅れている状況です。ICCでは、AIが人の代替やサポートを行うため、コンタクトセンターに従事する人は、現在よりも余裕のある働き方をすることができます。
ICCというキーワードについては、動向を注視してください。ICCは、コンタクトセンターの変革のキーワードでもあります。
CMBOK委員会 田口 浩(グッドエンゲージメント)